【保育士の転職】保育士の転職氷河期が訪れる?

保育士向け

保育士はいつでも転職できる?

〜元・転職エージェント、現・保育園の現役園長が語る保育士の表と裏〜

今、保育士はいわゆる売り手市場。現場の感覚からいうと、特に都市部では保育士の採用は本当に難しいです。だから一度欠員が出てしまうとその穴埋めは大変です。

しかしながら、この状況はいつまでも続くものではありません

今回は、なぜ売り手市場が近い将来なくなるのかということを元・転職エージェント、現・保育園園長という経歴を持つ私の視点から語っていきたいと思います。

保育士の転職が難しくなる4つの理由

1.保育園の増加と定員割れ

2.人口減少、少子化トレンド

3.保育士資格保持者の増加

4.働き方の変化と待機児童解消可能性

詳しく一つずつ見ていきましょう。

1.保育園が増えている、定員割れが起こっている

特に私が経験している都市部の現状に沿って話をします。

待機児童問題が顕在化している都市部において、各自治体は新しい規格(例えば地域型小規模認可保育園、企業主導型保育園など)を作り、質の高い≒最低限、安心安全の確保された保育園を増やしてきました。

そのおかげもあり、現在、各自治体では待機児童数が確実に減ってきています。ただ、完全になくなっているわけではないですので、引き続き課題が残ってはいるという状況です。

一方で、すでに定員割れが起こっている施設が出始めていることをご存知でしょうか?待機児童がまだあると発表されている自治体内においてもすでに定員割れが起こっている施設があります。

つまり待機児童がいる一方で保育園余りも同時に起こっているのです。

※私の見聞きした限りでは、特に小規模認可(0〜2歳までの子供を預かる定員19名以下の園)においては定員割れが顕著です。今後、認証保育園の認可への転換などと合わせて、分園・統廃合などの流れにつながるかもしれませんね。

2.人口減少、少子化トレンド

日本はすでに2016年から人口減少フェーズに入っており、さらに少子化高齢化の課題を抱えています。単純に考えて子供の絶対数が減るわけですから保育園のニーズは今後減っていきます

一方で、「女性の社会進出により就業人口が増えれば保育園ニーズも高まるので保育園の必要数は減らないのでは?」という反論もありそうですが、すでに社会進出が始まっている現在でも前述のように定員割れ(保育園余り)が起こっている状況ですので、フラットに見てもゆるやかにニーズが減っていくと考えた方が良いでしょう。

”出典:内閣府HP(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/s1_1_1_02.html)”

3.保育士資格の取得者増加

多くの保育士は専門学校や大学で資格取得をして現在保育園で働いていると思います。ただ保育士資格自体は「保育士試験」をパスすることでも取得が可能です。そして、その合格者数は試験が年2回実施になった平成28年から急増しました。

”出典:ブラッシュUP学び(https://www.brush-up.jp/guide/sc35/nannido#p-link4)”

平成29年以降も合格者数は高止まりしているように保育士の数がどんどん増えているわけです。

保育士転職市場から見ると競合相手が増えているわけですから、その分転職がしにくくなってきています。ただ、現場の感覚からもう一言付け加えるとしたら、市場価値の低い保育士は転職が難しくなってきているという感じかと思います。

4.社会構造の変化が待機児童を解消する 

図らずともコロナウイルスの影響でテレワーク、リモートワークが当たり前の環境になり、今後この働き方が定着する流れがあります。

そうなると就業世代が都市部に住む必要性が薄れ人口の集中が解消される可能性があります。そうなると、人口集中によって引き起こされていた都市部の待機児童問題が一気に解消される、とまでは言わなくとも減る方向に作用することは間違いないでしょう。

保育園大競争時代が来る

いままで挙げてきた4つの理由は、平たくいうと保育園が余るようになるから保育園同士のこどもの取り合い=競争が、すでに起き始めているということです。選ばれる保育園にならないと食べていけなくなる時代がきます。

もちろんそのためにまず第一には国・自治体・経営陣の努力が必要でしょう。同時に、どんなに素晴らしい理念を掲げても、どんなに素晴らしい施設があったとしても、保育を計画し実践するのは現場の保育士なのですから保育士のスキルアップ(知識・技能の取得、組織人としてのコミュニケーション力獲得など)も必要です。その努力を怠ると働き口がなくなるとまでは言わずとも一生低賃金で使われるだけの存在になってしまうということです。

逆に言えば、きちんとスキルアップできればあなたは転職市場でも引く手数多の高価値人材になれるでしょう。こどもを集客できる「プロ保育士」に年収1000万を払う、そんな未来も考えられるかもしれません。

まとめ:市場価値を高められる保育士が今後生き残る

今回は将来的には、保育園同士で子供の取り合いが起きていき、つまり競争が始まり激化していくという予測から、保育士が余っていくのではないかという話をしました。

「保育士は売り手市場だし、いざとなったらどこにでも働く先はあるし」とたかを括っていると、いざ転職をしようとしたときにはすでに手遅れになってしまう可能性があります。

つまり、今のうちから市場価値のある保育士になっておくことが、もちろん現在所属している組織から重宝される(=処遇・待遇がよくなる、発言力を持てて働きやすくなる)ことにも、転職のときにも選択肢を得られるために必要だと言えます。

転職エージェントへの相談は転職を決意する3段階前から

今後求められる市場価値のある保育士についての詳細はまた次の記事でお伝えできればと思いますが一言で言えば、自分の強みを持っている保育士です。

自分の強みってなんだろう…それを自分で見つけて伸ばしていくのはすごく難しいですよね。そんな時は転職エージェントに相談するのも良いかもしれません。今、どんな人材が求められているのかの情報を一番持っているのは彼らですから、むしろ情報を取りに行くくらいのつもりで面談をしてみてもいいのかもしれません。



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