療育機関に通う目的とは

発達障害・療育

生きる上で必要な能力の習得

まず初めに、よくある誤解ですが療育の目的は欠点の矯正や特性の消去ではありません。

しいていえば、「生きづらさ」を軽減するためのトレーニングをする場所といえるでしょう。

療育に通う目的を一言で言えば「生きる上で必要な能力の習得を促す」ためです。

発達障害などで特性の強い児は、典型発達では自然と身につく能力がその特性ゆえに習得できずに(または著しく遅れて)おり、それゆえに日常生活に困難をきたしています。

程度が激しければ激しいほど社会への適応が困難になり、それが一定を超えると「障害」とみなされるようになります。

療育で身につける能力とは

療育で身につける代表的なスキルについて次の3つです。

  • ソーシャルスキル

ソーシャルスキルとは社会生活を送る上で必要になるスキルのことで「コミュニケーション」と「情緒(のコントロール)」と「理解」に関するスキルが主になります。

発達障害など特性を持っている子はこれらの調整や習得が苦手で特に対人関係においてトラブルを抱えがちです。

そのため、療育機関でソーシャルスキルを個別課題にあわせて伸長させ日常生活を円滑に送れるようにします。

  • 粗大・微細運動スキル

発達障害児には、体幹が弱く姿勢の保持が難しかったり、力のコントロールができず手を強く握りすぎたり、指先がうまく使えなかったりといった固有覚の過敏・鈍麻や、

いつまでもブランコに乗り続けたり(これだとASDの常同行動っぽい表現ですが)、ちょっとの視線の動きで酔ってしまうほどに参ってしまったりといった前庭覚の鈍麻・過敏があることがとても多いです。

それらの感覚の鋭さ/鈍さにより、粗大、微細運動(および言語発達)に課題を抱えることが想定されます。

療育機関では、作業療法士や理学療法士による運動系プログラムを行ない、運動スキルの習得と補完を目指します。

  • 非認知スキル(肯定感、有能感の保持・向上)

顕著な特性を持つ子は、その特性由来の行動ゆえに集団行動からはみ出ることが多く、それゆえ(理解のない環境で養育されると)怒られたり注意されたり否定されたりする機会もまた多いです。

そのため、自己肯定感や有能感が育ちづらいという課題を抱えています。

特性を持った児は、幼少期においていわゆる「非認知スキル」が育ちづらいため、

学童期以降ではうつや不安症を発症したり、ADHD児においてはDBDマーチ(反抗挑戦性障害(平たく言うと理由もなくなんでもかんでも大人に反抗的な態度をとること)→素行障害(人や動物を傷つけたり、物を壊したり盗んだりを繰り返す)→反社会性パーソナリティ障害(いわゆるサイコパス、容易に犯罪や非人道的な所業を行う))が進行したりといった「二次障害」へとつながる可能性が高いです。

そのため療育機関では、そのプログラムを通じてできる・認められる経験を多く積み、肯定感や有能感といった非認知スキルの向上を目指すことになります。

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